こんにちは、HaraKitです。
皆さんは、これまで人間関係上のトラブルに見舞われたことはありますか?
もしくは、友だちや家族との関係性で困ったことはありますか?
…おそらく、誰もが大なり小なり人間関係については悩んだ経験があるでしょう。
特に中学校や高校などの感受性が豊かな時期は、人間関係でのトラブルもかなり起こりやすいと思います。
時には人間不信に陥る(陥った)経験もあるかもしれません。
特に、学校や会社での閉じたコミュニティでは、人間関係での問題が起こりやすい気がします。
そんな人間関係の在り方に革命的な衝撃を与えてくれた本がありました。
それが『友だち幻想』という本です。
今回はこちらの本について、ご紹介したいと思います。
友達との人間関係に悩んだ学生時代
私はこれまでの人間関係を振り返った時、中学時代や高校時代に、ものすごく友人関係で悩んだことがありました。
その場にいない友だちの悪口を聞かされる、同調圧力、逆らった今度は自分がターゲット…etc
そうしたことが数回続いたためか、中学3年生の頃からしばらくトラウマとなって引きずってしまい、人との関わり方をどうしたらいいのか、どうすれば仲良くなれるのか。
中学生から高校生の間は、そういったことに囚われる日々がしばらく続いていました。
友だち幻想
しかし大学に入ってから、人間関係の悩みに大きな衝撃を与える本に出会いました。
それが『友だち幻想 人と人の<つながり>を考える』です。
大学のゼミにおけるレポート作成用の課題図書として担当教授から指定された本でした。
新書サイズで、著者は菅野仁さんという社会学者の方です(菅野さんは2016年に亡くなられました。ご冥福をお祈りします)。
概要
この本は、菅野さんいわく「身近な人たちとのつながりを見つめなおし、現代社会に求められている『親しさ』とはどのようなものであるのか」をとらえ直すための「見取り図」を描こうとして書かれた本、とのこと。
詳しい内容は割愛しますが、友達同士でその場にいない人の悪口を言う等の同調圧力に関すること(例えば、読んだメールはすぐに返信しなければならないという、メールの即レスであったり、最近でいうところのLINEの既読スルーなど)について、友だち同士における悩みがどのようにして発生するのかを社会学の観点から分析しています。
社会学的な本というと、とっつきにくいイメージがあるかもしれませんが、中身は中学生・高校生向けに書かれた本であり、非常に読みやすいのが特徴です。
専門用語はほとんどでてきませんし、あったとしても著者の解説もあるので、困ることはありません。
人間関係の在り方を見直すことができた一冊
『友だち幻想』で語られるポイントをまとめました。
同質性ではなく共同性
かつての日本における”ムラ社会”では、皆が皆、お互いを支えあうことで成り立っていた社会であり、皆が同じという同質性に基づく共同体でした。
しかし、日本の近代化により生活様式が変わり、物質や法律などのハード面においてはムラ社会から抜け出しましたが、一方で日本人の精神的な面においては、今でもムラ社会的な同質性を引きずっていることを、菅野さんは本書を通して指摘しています。
そして、これからの日本社会においては、同質性に基づく共同体ではなく、並存性(”異なる人・気の合わない人たちと「上手く」共存する”という考え)に基づく人間関係やコミュニティ形成の必要性を説いています。
この並存性とは、1つの池にある水をお互いに干渉することなく飲む野生の動物(シマウマとかゾウ)をイメージすればわかりやすいと思います。
あの光景って、なんだか微笑ましい(?)ですよね。
”和を以って貴しとなす・皆一緒があたりまえ”という考えがあまりにも支配的だと、そこから逸脱する人(例えば、”テストの成績が群を抜いている子”や”体育で圧倒的な記録を残す子”、”人とは異なる考えや発想、価値観を持つ子”、”生まれつき髪の色が金髪”等といった少数の人間)が、大多数にとっての嫉妬の対象(ルサンチマンといいます)になり、攻撃対象となってしまうことがしばしばあります。
その具体的な例が、陰湿ないじめに代表されるような、多数の人間がわずかな人間に対して行う卑劣な行いでしょう。
それによって、最悪死者が出てしまうことも、現代では決して珍しいことではありません。
無理やり関係性を持たない
本書を通じて、”皆いっしょ”ではなく、”あなたはあなた、私は私”といったように、ウマが合わない子とは無理やり関係性を持とうとするのではなく、お互いがお互い、無理しない距離感で関わることを意識すれば、人間関係を上手く築ける(変に傷つけ合わない)かもしれないと考えるに至りました。
そう思うようになってから、私自身、すごくスッキリしたものを感じました。
よく、
とか、
という美しい文字列を見聞きすることがあるのですが、あれって結局幻想でしかないんじゃないかと思うのです。
人はみな、生まれてきた親、育った環境、遺伝子配列からなにまで、自分と同じ人はいないんですから、要するに同じ人間という枠組みだとしても、全く別の生き物なんですよね。
お互いに意見をぶつけ合えば友情が深まるというのは、お互いの関係性に信頼関係があることが前提です。
それが全くない状態で罵り合い、殴り合えばお互いが分かり合えるとか、夢見すぎもいいところ。正直いって馬鹿じゃないのって感じです。
マジファックですよ、ファック。
友だち100人いらねぇよ

つまり、無理に他者と仲良くなる必要なんてないんです。
友だち100人できるかな?という歌がありますが、…
友だち100人もいらねぇよ。
ということですね。
あんな歌子どもに教えないで下さい、いやホントに。
誰ですか、教えるよう指導したのは…。
もちろん、仲良くなりたいと思うならやればいいんです。
実際、ホントに多くの方と友だちになれる人もいますし、友だちと関わりたいと思う人もいるのですから、それはそれでOKです。
しかし、沢山の人と関わることが自分に向かないのに変な見栄を張って、それで自分が消耗しきってしまうのであれば、これはただのマヌケだよなぁ、って話だと思います。
https://kyo-kun.com/how-to-get-along-introverted-personality.html
まとめ

これまで抱えていた人間関係での悩みは、友だちに(無理矢理にでも)チューニングしなければならない、仲良くならなければならないといった、同質性に関係するものが殆どなのではないかと思うようになりました。
でも、相手に同質化する(もしくは、相手を無理矢理同質化させる)のは、結局自分を殺している可能性があるので、そこは本当に気をつけなければならないと思います。
そういう意味では、本書は私の価値観を大きく変えた、自分の人生の中で出会えて本当に良かったと思える、数少ない書籍の1つです。
人との関係性に疑問を持っていたり、人間関係に居心地の悪さを感じたりすることがあれば、それはおそらく、あなたにとってベストな関係を築けていない証拠。
もし興味を持たれたのなら、ぜひ一度手にとって読んでみることをおすすめします。
自分と他人との距離感に悩む人にとっては、何かしらの気付きになる本だと思います。