リスティング広告を始めとした、運用型広告やマーケティングの仕事をする上で身につけるべきだと思うものの一つが、ロジックツリーというフレームワークです。
ここでいうフレームワークとは、いわばビジネスフレームワークのこと。経営課題や業務分析、そこから問題解決につなげるために必要な思考(ロジカルシンキング)を可視化するためのツールや、その思考の枠組みを指します。現役コンサルタントが使うことも多いです。
なので、自分のものにしてしまえば、なんだか今よりも賢く、インテリジェンスな自分に近づけるかも知れません…!(ゴゴゴゴ)
というわけでこの記事では、ロジックツリーの概要と具体的な使い方・作成の仕方について、リスティング広告の運用時における場面を出しながら、サクッと紹介していきます。
目次
ロジックツリーとは
ロジックツリーとは、先述の通りビジネスフレームワークの1つで、私のような運用型広告の仕事をする人や、経営コンサルタントも活用する問題解決ツールです。
どんなに複雑なものであっても、一つ一つ分解して紐解いていくことで、MECE(もれなくダブりなく)必ず問題の原因に辿り着くことができます。
なので、ロジックツリー自体に意識を向ける必要はなく、問題を分析する上で、視覚上便利なものという感じでOKです。
マインドマップとの違いは?
ちなみに、マインドマップと呼ばれるツールに見た目が似ていますが、両者は違います。
マインドマップはある要素に対して連想できる要素をひたすら枝に書いてくのに対して、ロジックツリーでは、構成されているある要素を更に細かな要素に分解します。
なので、マインドマップでは、何度も同じ要素がが出てきますが、ロジックツリーではMECE(もれなくダブりなく)が徹底されているため、同じ要素が出てくることはありません。
ロジックツリーを使うメリット
ロジックツリーを使うことのメリットは何か。大きく分けると、そのメリットは「可視化」と「共有」の2つです。
最も本質的な問題(ボトルネック)の可視化
ボトルネックとは、言葉の通りボトル(瓶)のネック(首)のことですが、ビジネスにおいては、最も容量が低くて全体のパフォーマンスを下げてしまう箇所のことを意味します。
つまり、最も本質的な問題がどこにあるのかを視覚化できることが一番大きなメリットといえます。
更に、木の枝のように問題を一層細かく分解することで、最も本質的な問題(ボトルネック)がどこにあるのかを明らかにできます。
可視化することによるチームへの共有
ロジックツリーを使うことで、問題をロジカルに分析をすることができるだけでなく、それを図示することで、他者にも理解を促すことができます。
広告運用の仕事において、普段から運用者は頭の中で色々考えるのですが、それを図にして示すことで、担当者以外にも「なるほど」と納得してもらいやすくなります。
なので、社内での共有や同意を得ることにも有効な方法ですね。
具体的な使い方(リスティング広告運用の場合)
ロジックツリーの概念よりも、実際の広告運用時において、どうやって使うものなのかを、例題を出しながら解説したいと思います。
また、ここでは運用型広告の専門用語を出していくので、内容がおぼつかない人はこちらの記事もチェックして頂けると嬉しいです。
例題:広告のCPAが高騰しているとき、どう対処する?
あなたは現在、リスティング広告を運用していますが、今月のCPAがどうも芳しく無く(広告運用担当者は誰もが一度はぶつかる悩みだと思います。。)、このままだと目標達成はおぼつかない状態…。
こんなとき、どこを改善すべきか分析し次の打ち手を考えるのですが、その際にロジックツリーを使いながら考えることで、問題を視覚的に明らかにできます。
実際に見てみましょう。
CPA=COST(費用)÷CV(コンバージョン)
まずCPAとは何なのかですが、CPAは顧客獲得単価のこと。1回の成約(購入・申込み等)辺りに対して、どれくらいの費用が掛かっているかを示す視標です。
当然、CPAは低い方が必要以上の費用発生を防げるため、一般的には低く抑えられることが求められます。
CPAを低く抑えるには?
ではCPAを低く抑えるにはどうしたらいいか。
CPAは、「COST÷CV」で算出できます。すなわち、CPAの値を小さくするならば、次の方法が考えられることになります。
- Cost(費用)を減らす
- CV(コンバージョン)数を増やす
つまり、打つべき施策の方向性としては、Cost面かCV面、もしくは両方にテコ入れをする、という決定を下すことができますね。
ケース1:Cost(費用)を減らす場合
Costは文字通り「費用」のことです。
CVの数が変化しないと仮定した場合、単純にこのCostの数字を減らすことができれば、CPAの数値が改善できそうですよね。
Costを更に分解する
ここで更に、Costの要素を細かく分解してみます。すると、次の通りになります↓
Cost=CPC(平均クリック単価)×Clicks(クリック数)
すると、Cost=CPC(平均クリック単価)×Clicks(クリック数)に分解できることがわかりますね。
つまり、Costを減らすとは、すなわちCPCかClick数(もしくは両方)を下げる・減らすことで実現できる、とざっくり結論付けられそうですよね。
CPCを下げるなら
では更に深堀りをします。
CPCを下げるにはどんな方法があるでしょうか。
例えば、次のような方法が考えられます。
- そもそもの入札単価を下げる
- 品質の高いKWを入稿する
- 入札単価の高いKWを選ばない
Click数を下げるなら
一方、Click数を下げるには、どんな方法があるでしょうか。
- 入稿するKWの数を減らす
- 入稿するKWのマッチタイプを絞る(完全一致など)
- 除外キーワードを登録する
これで、Costを下げるときに打つべき施策が、だいたい明らかになりましたね!
もちろん施策の中には、あまり現実的でないものもありますが、ひとまずは要素を分解することに注力してみました。
ケース2:CV(コンバージョン)数を増やす
続いて、CV(コンバージョン)サイドも見ていきます。
コンバージョンは、成果達成の指標のことですが、こちらもCostと同様に、更に分解することが可能です。
CVを分解する
CVを分解すると、次のようになります。
CV=CVR(コンバージョン率)×Click(クリック数)
よって、CV数を増やすとは、CVRかClick(もしくは両方)を増やすことと同じといえます。
Click数を上げるなら
Click数を上げるにはどんな方法は、先程の逆を実施すればOKというのが、なんとなく分かるかなと思います。
- 入稿するKWの数を増やす
- KWのマッチタイプを拡げる(部分一致など)
- ユーザーがクリックしたくなるような広告文・見出しを作成する
CVRを上げるなら
今度はCVRを上げる方法です。
CVRを上げる方法は、大きく分けて2つの方向性がありますね。
- LP(ランディングページの改善)
- 集客キーワード(質)の見直し
LPの改善は、いわばサイトを訪れたユーザーさんが、広告からLPに遷移して、そこで商品を買ってもらったり、申込みをしたいと思ってもらえるように、ページを改善することです。
集客キーワードの見直しは、そもそもとして「商品を買いたい」「無料お試ししたい」と考えている人に広告を配信できるようにすることが目的です。
検索するキーワードには、様々なユーザーさんの悩み・ニーズ・欲求が含まれているので、そのニーズを解消したいという願いが込められているキーワードで検索する人に多くのアプローチを掛けられれば、CVは増やせるのではないかと考えられます。
まとめ:ロジックツリーで原因を構造的に分析できる
このように、ロジックツリーを用いることで、一つ一つの要素は細かく分解することで問題を構造的に捉えることができ、最終的にはどういう打ち手を選べばよいのかその選択肢を明らかにすることができます。
この記事ではあくまでも、どんな施策が打てるかまでを分解してみました。
もちろん、最終的にどの施策を打つべきなのかは実際の数値であったり、全体のパフォーマンスを見てから、判断を下すことになります。
広告を運用している人であれば、こうしたことはほぼ無意識と言うか、図にするまでもなく考えて実行していると思いますが、実際にツリーの形状に書き起こすことによって、自らの理解度を把握することもできますね。
最後に:思考を具体化して感覚頼みを卒業しよう
リスティングを始めとした運用型広告の仕事においては、常に課題と向き合い、そのための解決策はなにかを考え続けることが必須です。
とはいえ、傍から見てると広告運用者って何してるか分かりにくいというか、もしかしたらネットサーフィンしてんじゃないか、なんて思ってる人もいるかも知れない…と思ったのでこの記事を書いたのが一番の理由です。
広告運用者はちゃんと仕事してますからね!
広告運用は手を動かすよりも、頭で考えることが多い仕事ですからね!!
広告運用をしてるけど仕事について理解されないという人は、ロジックツリーで普段の思考と仕事の内容を分かりやすく図解することで、仕事の価値を理解してもらえるようになるかもしれません。
広告運用者は普段こんな事を考えているんだ、ということも理解いただけると嬉しいです。(˘ω˘)
- Webマーケターとして活躍したい!
- Webマーケティングを用いて更にキャリアアップしたい!
- 未経験だけどWebマーケティングに挑戦したい?
Webマーケターに興味を持ち、更に実務を積んで今よりもさらに上流の仕事につきたいと考えるなら、転職の専門家であるエージェントを活用していましょう。
特に、転職経験が少ない人や、転職初心者であれば、転職支援サービスを使うことで、企業が転職希望者に求めていることが分かります。
人生における重大な決断である転職を失敗させないために、良質なエージェントを活用して、キャリアップに挑戦してみませんか?