「派遣社員」に対してネガティブなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
私も、世の中の派遣のイメージはあまり良いとはいえないなぁと、つくづく思います。派遣の中には確かに質の悪い人がいるのも間違いありません。
しかしその一方で、派遣の立場を利用して自分のやりたいことを実現したり、起業家やフリーランスとして独立を果たしたりする人もいます。
とある凄腕アフィリエイターは、派遣スタッフとして1日10時間以上も働きながら、兼業で成果を莫大に発生させた。驚くべきことは、当時はガラケーだったのにも関わらず、派遣の待機中に小さい画面にひたすら文章を書いて、PCにメールで文章を送信していたそうな。今は法人で結果をだされてます。尊敬。
— SEOくん@月間34万PV (@Khayatoooo) 2019年2月20日
派遣はあくまでも働き方の1つであり、「手段」にすぎません。
そして私も、Web業界に入る時は「派遣」からスタートして、紆余曲折を得ながらも、東証一部上場の会社に社員として転職できるまでにはなれました。
派遣から入ったことが最適解かどうかは分かりませんが、派遣であっても道は開けることは多少体現できたと自負していますが、それでも派遣で働いたことがない人にとっては、
と思う人は多いハズ。
というわけで、元派遣利用者とした私から派遣のメリットとデメリットを紹介します。
Web業界におけるキャリアを考えるための、1つの参考として派遣について知ってもらえたら幸いです。
派遣のメリット
まず派遣のメリットです。
全ての派遣会社・サービスがこの通りではないですが、概ね以下の特徴を持っています。
- 時間の自由度が高い
- 未経験業種でも入れる
- 期間を決めて働くことができる
- 職場の人間関係でそれほど忖度しなくて良い
- 面倒事を派遣元が代行してくれる
- 正社員では入社が難しい会社でも入れる可能性がある
- 副業も心おきなくできる
時間の自由度が高い
派遣の場合、原則定時で帰宅することができます。
未経験で入ったけど仕事が大変という場合でも、まずは定時帰宅できることで、少しずつ自分を慣らしていくことが可能です。
仮に残業があったとしても、大手系派遣サービスの場合は残業代がしっかり支給されるので、「サービス残業が当たり前」という状況になる可能性は低いでしょう。
未経験業種でも入れる
資格が必要な職種は別ですが、Web系職種に関して言えば、派遣であれば未経験でも入れるケースが多いです。
未経験といっても、Webデザイナーやエンジニアであれば、職業訓練校等で実際に手を動かしたりした経験があるかどうか、実務で通用するアウトプットが出せるかどうかが鍵となります。
未経験職種への入門の際に、派遣は割と合理的と言えるんじゃないかな、と。
期間を決めて働くことができる
派遣の場合、雇用契約は3ヶ月ごとの更新になるケースが多いです。
きつい職場に入ったとしても、「コーディングの実務を半年で一人前にする!」「Webデザインのフローを半年で一通りマスターする!」といった感じで、期限を決めて取り組めるので、日々の仕事の質が上がりやすいです。
人間、「この地獄がいつまで続くかわからない…」と感じるとメンタルが潰れるので、そうしたことを回避しやすいといえます。
職場の人間関係でそれほど忖度しなくて良い
Web系専門職の場合、会社によっては自分ひとりだけしか知識がない…ということもあります(まれですが)。
どちらかというと、みんなと一緒に仕事というよりかは、正社員の知識不足を補うというスタイルになるので、人言関係が広がることはそこまで多くないはず。どちらかというと、「ぼっち」になるケースが多いです。
正社員では社内政治だったり、忖度(そんたく)が必要になりますが、そこまで気を遣わなずに自分の仕事に専念できるのは割と大きなメリットではないでしょうかね。
面倒事を派遣元が代行してくれる
常駐先でのトラブルや、社会保険、契約手続きに関することは派遣元の会社が代行してくれます。そのため、自らの仕事に専念しやすいといえます。
正社員では入社が難しい会社でも入れる可能性がある
名だたる大手企業や外資系有名企業など、経歴や学歴がものをいう正社員転職では中々入れないような企業でも、派遣だと入社ができるケースがあります。実際に、の外資系企業に強い派遣サービスもあります。
誰もが憧れるような企業へ紹介予定派遣で入り、そこから正社員を目指せるケースがあるかもしれません。
副業も心おきなくできる
これも全てではないですが、派遣であれば副業も可能なケースは多いです。
詳しくは会社の就業規則を確認する必要がありますが、派遣であれば定時帰宅が基本なので、時間的な制約という意味でも副業する環境は整っているといえるでしょう。
ちなみに派遣で副業をする場合、確定申告などは自分でする必要があるので、予めfreee等のクラウド会計ツールを準備しておきましょう。
派遣のデメリット
続いて、派遣のデメリットです。
基本的にはメリットの裏返しになりますね。
- 交通費が支給されない
- 賞与(ボーナス)がない
- 1つの職場にいられるのは3年が限界
- 雑用仕事を押し付けられやすい
- 職場の人間関係が希薄になりやすい
- 正社員からのマウンティングを受けやすい
- 期間満了により雇用契約が終わるリスクがある
交通費が支給されない
派遣の場合、時給1,800円等であっても「交通費込」となっているケースが多く、キャリアスタート時等の時給が低くなりがちなタイミングでは、結構な負担になります。
一方で、交通費の支給を開始する派遣サービス等もあるため、選んだ派遣会社次第になる側面もあるでしょう。基本的に大手運営の人材派遣サービスであれば、福利厚生面が整っていることが多いので、そうした人材サービスを選ぶのが対策になるでしょう。
賞与(ボーナス)がない
もらえる派遣会社もあるようですが、基本的には「ない」と思った方がいいです。
正社員が賞与をガッツリ貰える会社に常駐すると、肩身が狭い思いをするかもしれません。
「正社員は賞与に餌付けされてる」と自分に都合よく考えるなどしないと、人によっては精神的にきついと思います(私はこう思いながら乗り越えました…)。
1つの職場にいられるのは3年が限界
派遣就業には、労働者派遣法により「3年まで」という期限が設けられています。
3年を超える場合は、次のうちいずれかの処置を施す必要があります。
- 派遣先への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先への就業
- 派遣元での派遣労働者以外としての無期雇用
- その他雇用の安定を図るための措置
労働者派遣法改正法(厚生労働省)より引用
こうした決まりは派遣社員の不安定な身分を守るために法律の改正で作られましたが、実際にそれが雇用の安定につながるかと言われると「?」な部分は多いですね…。
3年経った場合は、正社員として迎えてもらうか、新たな会社で最初からスタートになります。
ですが、正直なところ派遣は3年も続けるべきものではないので、さっさと正社員転職or独立するのが一番良いと思っています。
雑用仕事を押し付けられやすい
派遣社員の位置づけは、「正社員のサポート役」であるケースが多いです。
事業会社も採用活動には時間もお金もかかるため、人材をスムーズに補給したいと考えていても中々実現できません。そんなときに便利なのが、「派遣」の存在です。
紹介予定派遣の場合は、正社員として迎えられるかどうか資質の見極められますが、一般派遣の場合は、予め雑用系が多いと自覚しておいた方がよいでしょう。スキルアップにつながらないと感じたら、早い段階で次のことを考える必要も出てくるかもしれません。
たとえ雑用でもWeb系のスキルは専門性が多少必要なものなので、他社に転職しても通用できるぐらいまでスキルを昇華できれば、解雇されてもまた転職することは十分可能です。
職場の人間関係が希薄になりやすい
派遣はあくまでも外部(派遣会社)から来た人間でありかつ業務も責任が重くないものが多いため、常駐先の正社員から厳しい目を向けられることも。
そのため、中々社内の方と打ち解けられる機会が得られないかもしれません。
また専門職の場合であれば、自分ひとりだけでの仕事であったり、他の社員さんと絡む機会が少ないケースも多いです。
人と必要のない絡みが大の苦手な私にとっては比較的相性が良かったのですが(それでもそれなりにしんどい)、「人と関わらずにはいられない」「みんな一緒だと安心」というマインドの知人は、メンタルをやられて継続できなかったので、ここはかなり向き不向きが出るところですね。
正社員からのマウンティングを受けやすい
疎遠になる可能性がある一方で、(多くはないですが)正社員からいびられることもあります。村社会意識の強い田舎者社員がいる場合、嫌がらせやいじりをしてくるケースも…。
さすがに今のご時世では考えにくいですが、「派遣いじめ」やそれに近いことをする会社も無いとは言いきれません(もし出くわしたら早々に撤退しましょう。そういう会社や斡旋する派遣サービスは見限ってしまってOKです)。
人間関係的にしんどかったとしても、精神的に負けない強さが必要や、もしくは派遣先の正社員を懐柔させられる人間性、もしくは圧倒的に優れた技能だったりと、何かしら尖ったものがあると心強いです。
その会社の弱点を見つけ、そこを補える人材になりさえすれば、派遣であっても自らのポジションは確立できるので、いかにポジショニングをとるかが重要になります(ちなみに私は苦手)。
ポジションが取れるぐらいになれれば、正直クビを切られたとしても他の会社で十分通用するレベルにはなれているはずなので、とにかく腕っぷしさえあれば生き残れるでしょう…!
期間満了により雇用契約が終わるリスクがある
派遣は非正規雇用のため、派遣先企業からいつでも契約を一方的に解除されるリスクがつきまとうことも忘れてはいけません。
これは入る会社次第だと思いますが、基本的には経営が安定している大手系企業等であれば、勤務態度が悪いとか余程のことがない限りは継続できます。
私の場合、実は3回ほど期間満了の経験をしたのですが、いずれの企業も中小レベルで、しかも経営が杜撰(マネージャーがKPIを設定できない、惰性で仕事してる等)ないし不安定なビジネスモデルの組織でした。
正直いって、当時の自分を恨んでます、なんてお前はアホだったのかと…。
将来的に正社員登用が見込める紹介予定派遣や、正社員転職が実現できる転職エージェントの並行利用も実施すべきですね。
最後の手段として、フリーランスとしての独立準備をするのも良いでしょう。
派遣を選ぶべき人・避けるべき人
派遣のメリットとデメリットをまとめると、次のとおりです。
- 時間の自由度が高い
- 未経験業種でも入れる
- 期間を決めて働くことができる
- 常駐先との面倒事を派遣元が代行してくれる
- 正社員では入社が難しい会社でも入れる可能性がある
- 副業も心おきなくできる
- 賞与(ボーナス)がない
- 1つの職場にいられるのは3年が限界
- 雑用仕事を押し付けられやすい
- 正社員からのマウンティングを受けやすい
- 期間満了により雇用契約が終わるリスクがある
これらを踏まえて、派遣を選ぶべきは次の人であると考えてます。
派遣を選ぶべき人
- 自分の時間を確保したい人
- 将来独立(起業・フリーランス化)を考えている人
- 未経験業種のキャリアをゼロから創りたい人
- 会社の言いなりではなく自分でキャリアを築きたいと考える人
派遣を避けるべき人
- 職場の人と絶対仲良く仕事したい人
- 未経験業種に転職なんてしたくない人
- 一つの職場に長く属して地道に昇給したい人
- 何が何でもボーナス欲しい人
注意:派遣は「一時的」な選択と考えるべき
派遣は良い面と悪い面どちらもありますが、個人的にはあくまでも「一時的な」選択と考えることをおすすめします。
そもそも派遣社員は長く在籍することを期待されていない
派遣は英語で「temporary staff」と訳されます。
temporary(英)は「一時的な」「臨時の」という意味の形容詞で、すなわち、「派遣」は一時的な存在で長くいることを期待されていないということになります。
業績悪化で人員整理の際に真っ先に白羽の矢がたったり、契約満了のリスクもあったりするので、雇用期限である3年と待たずに実務経験をある程度積めたら、正社員等へのステップアップもしくはフリーランスを目指すべきです。
給与は殆ど増えないので30代以降は正社員を目指そう
厚生労働省が実施した平成29年賃金構造基本統計調査における雇用形態別の賃金推移を見てみると、正社員・正職員以外の場合、年齢を重ねても賃金が殆ど増えていないことがわかります。
「正社員・正職員以外」には派遣以外の形態も含まれますので、いずれにせよ正社員・正職員のように年齢とともに給与が増えることはまず期待できません。
つまり派遣は、年齢を重ねれば重ねるほど賃金的にしんどくなりやすいので、会社員としてのキャリアを選ぶ人は、30代には正社員・正職員になれるような努力が必要です。
必要なキャリアを積めたらフリーランス化も考えよう
一方で、独立してフリーランスを目指す人は、専業化する前の準備期間として派遣を利用するのはありです。ただ、単純作業ばかりでキャリアアップが見込めない、市場価値の上がらない仕事であれば、何かしら次の手を打たないと将来が厳しくなります。
エンジニアやデザイナー、Webマーケター等のIT・Web系の職種であれば人手不足が常態化しているため、仕事を獲得できる程の経験とスキルがあれば、世の中を渡り歩いてくことは十分可能です。
フリーランスの方は総じて幸福感が高い印象ですが、実際には年金や保険関係など、手続き面では煩雑になることも多く、事前準備が非常に重要になります。そのため、派遣の期間を有効活用することで、スムーズに独立へ繋げやすくできるかもしれません。
もしくは、半分派遣で半分フリーランスなんて働き方をする人も結構多いと思うので、Web系の副業マッチングサービスも事前に調べておくと、新たに仕事が舞い込んでくるかもしれませんよ。
最後に:IT・Web系に強い派遣サービスって?
IT・Web業界への転職ができる代表的な人材派遣サービスもあります。
このブログでも取り上げているのですが、主にWebデザイナー、Webエンジニア向けの案件が多いです。中にはWebマーケターOKの求人を取り扱うサービスも。
ネガティブなイメージの多い派遣ですが、キャリアのスタートやきっかけとして選ぶのは「あり」なので、業界でしっかりやっていくんだ!という覚悟のある人は、ぜひとも活用してみて下さいね。
- Webマーケターとして活躍したい!
- Webマーケティングを用いて更にキャリアアップしたい!
- 未経験だけどWebマーケティングに挑戦したい?
Webマーケターに興味を持ち、更に実務を積んで今よりもさらに上流の仕事につきたいと考えるなら、転職の専門家であるエージェントを活用していましょう。
特に、転職経験が少ない人や、転職初心者であれば、転職支援サービスを使うことで、企業が転職希望者に求めていることが分かります。
人生における重大な決断である転職を失敗させないために、良質なエージェントを活用して、キャリアップに挑戦してみませんか?